
愛知県の山あいにある宿場町、足助町。
かつて塩の道として栄えたこの町には、今もなお江戸時代の面影を残す美しい街並みが残っています。
その歴史的景観を守るため、町の一部は「街並み保存地域」として指定されており、古い建物の多くが伝統的建造物として大切に守られています。
今回、私たちはその一棟をリノベーションするご相談をいただき、現地調査に行ってきました。
コスモはこれまでにも、多くの古民家再生に携わっており、とてもワクワクした気持ちで現地へ向かいました。
街並みを守るというルール
足助の伝統的建造物は、
「ただ古い家だから自由に直していい」というわけではありません。
外観の形や屋根の素材、格子のデザインなど、
街並みの景観を守るための細かな基準が定められています。
たとえば、
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外壁の色や素材
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瓦屋根の形状
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軒の出や庇の納まり
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窓の位置や格子のデザイン
こうした部分は、町の景観を壊さないよう慎重に検討する必要があります。
つまり、一般的なリノベーションとは違い、
「守るべきもの」と「変えられるもの」を見極める設計力が求められるのです。

図面だけではわからないこと
今回の調査では、設計士が直接現地へ足を運び、建物を細かく確認しました。
梁や柱の太さ
屋根裏の構造
床下や基礎の状態
壁の下地のつくり
古い建物は、図面が残っていないことも多く、
現代の規格に合っているのか、耐震性はどうか、増築した部分はないかなど
実際に見てみないと分からないことがたくさんあります。
長い年月を支えてきた柱や梁には、
現代の住宅にはない力強さと美しさがありました。
「この梁はぜひ残したいですね」
「ここは補強を入れれば活かせそうです」
現地では、そんな会話が何度も交わされます。

制約の中で見つける最適解
伝統的建造物のリノベーションは、
自由度が高いようで、実は多くの制約があります。
しかし、その制約こそが
この建物らしさを守るための大切な条件でもあります。
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お客様の暮らし方
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建物の状態
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景観保存のルール
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そして予算
そのすべてを丁寧に整理しながら、
設計士は最適な方法を探していきます。
新しくするだけではなく、
「残す価値」を見極めること。
それが、私たちのリノベーションの仕事です。

歴史を、次の世代へ
何十年、あるいは百年以上の時を刻んできた家。
そこには、建物だけでなく、町の歴史や暮らしの記憶が宿っています。
私たちが目指すのは、
その価値を守りながら、今の暮らしに合う住まいへと再生すること。
歴史ある町、足助で始まる新しい住まいづくり。
調査はまだ始まったばかりですが、ここからどんな住まいが生まれるのか、私たち自身もとても楽しみにしています。
これからも、現地調査や設計の様子を少しずつレポートしていきます。
古い家を未来へつなぐ家づくり。
その一歩が、ここ足助から始まっています。