親の家(実家)を相続することになったら|まず知っておきたい考え方と注意点

親の年齢や体調の変化をきっかけに「実家の相続」という言葉が急に現実味を帯びてくることがあります
まだ先の話だと思っていたはずなのに、名義のこと、兄弟との話し合い、住み続けるのか売却するのかなど考えるべきことが次々と頭に浮かび、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
「相続」と聞くと、税金や法律といった難しい話を想像しがちですが、親の家(実家)の相続は、それだけで完結する問題ではありません。
その家をこの先どう使うのか、誰が管理するのか、家族の暮らしにどのような影響があるのかといった判断も同時に求められます。
親の家(実家)を相続することになった場合に「どのように対応するか」を早めに整理しておくことが大切です。
本記事では、親の家(実家)を相続することになったときに、まず知っておきたい基本的な考え方と注意点を、住まいの視点から分かりやすく解説します。
相続に関する選択に向き合うための、最初の一歩としてお役立てください。
親の家(実家)の相続で最初に整理しておきたいこと

親の家(実家)の相続を意識し始めたとき「何から考えればいいのか分からない」と悩む方は多いのではないでしょうか。
名義や税金の話が頭に浮かぶ一方で「住み続けるのか」「空き家になるのか」「家族との話し合いはどう進めるべきか」など、判断を要する事柄が同時に多く生じるためです。
相続は突然判断を迫られるものではありますが、すべてを一度に決める必要はありません。
まずは、実家を今後どうしていくのかという視点で、相続の知識と考えを整理することが大切です。
親の家の相続は「お金」だけではなく「暮らし」の問題
親の家(実家)の相続は「お金」だけではなく「暮らし」の問題と捉えることが重要です。
相続と聞くと、税金や名義変更などの手続きを思い浮かべる方が多いかもしれません。
親の家(実家)の相続は、誰が住むのか、誰が管理するのか、あるいは誰も住まない場合にどうするのかといった「住宅の行き先」を決める問題でもあります。
実家には家族の思い出や親の思いが詰まっていることも多く、感情的な要素が判断を難しくすることも少なくありません。
相続制度だけではなく、これからの暮らしや家族関係を含めて考える視点が大切です。
相続が発生する前から考えておくメリット
親が元気なうちから親の家(実家)の相続について考えておくことには、メリットがあります。
親本人の意向を直接聞けるため「どうしてほしいか」「家に対してどんな思いがあるのか」を共有しやすくなります。
また、相続が発生してから慌てて判断する必要がなくなり、冷静に選択肢を検討する時間を確保できるでしょう。
さらに、事前に情報や考えを整理しておくことで、兄弟姉妹との意見や認識のズレ、感情的なすれ違いを防ぐことにもつながります。
早めに相続に向き合うことは、家族全員が納得できる形で相続を進めるための大切な準備です。
親の家(実家)を相続したときの主な選択肢

親の家(実家)を相続した場合、必ずしも一つの選択肢に決めなければならないわけではありません。
状況に応じて、主に下記の選択肢があります。
- 自分や親族が住み続ける
- 賃貸に出す
- 売却・手放す
家族の暮らしや将来にとって、無理のない選択はどれかを考えることが大切です。
ここでは、実家の立地や築年数、家族構成などを整理しながら、それぞれの選択肢の特徴と注意点をご紹介します。
<親の家(実家)相続の際の選択肢>
| 選択肢 | 概要 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 自分や親族が住み続ける | 相続した実家に自分や親族が居住し、住まいとして引き継ぐ方法 | 愛着のある家で暮らせる 人が住むことで劣化を防ぎやすい | 遺産分割について事前の話し合いが必要 |
| 賃貸に出す | 実家を第三者に貸し(アパートなど)、家賃収入を得ながら維持する方法 | 家賃収入が得られる 空き家に比べて建物の劣化を抑えやすい | 入居者募集や維持管理の手間がかかる |
| 売却・手放す | 実家を売却し、現金化して相続人で分ける方法 | 管理負担から解放される 相続人間の公平性を保ちやすい | 築年数や立地により売却価格が左右される |
自分や親族が住み続ける
親の家(実家)に自分や親族が住み続けることは、相続の選択肢のひとつです。
住み慣れた家で生活を続けられる点や、家族の思い出を大切にできる点が大きなメリットです。
また、人が住んでいる家は換気や手入れなど適切な管理ができ、空き家に比べて劣化を防ぎやすくなります。
ただし、相続人が複数いる場合は事前の話し合いが必要です。
実家を引き継ぐ人と、そうでない人の間で「不公平だ」と感じる気持ちが生まれないよう、遺産分割についてはよく話し合い、納得を得ておくことが欠かせません。
また、住み続ける前には、建物の老朽化や耐震性、断熱性など、現在の暮らしに適しているかを確認することも重要です。
賃貸に出す
親の家(実家)を相続する際は、賃貸に出す選択肢もあります。
家賃収入を得ながら、家を維持できる点が魅力です。
人が住むことで建物の劣化を抑えられるため、空き家として放置するよりも良い状態を保ちやすくなります。
ただし、入居者募集や契約、日常の管理などには手間や費用がかかります。
特に築年数が古い場合は、修繕やリフォームが必要になることも少なくありません。
立地条件が良く、賃貸需要が見込めるかどうか、また管理を任せられる体制が整えられるかを事前に検討することが大切です。
売却・手放す
親の家(実家)を相続した場合、売却して手放す選択肢もあります。
「手放すのは冷たいのではないか」と感じる方もいるかもしれません。
ただし、管理が難しい状況で無理に持ち続けることが、必ずしも家族のためになるとは限りません。
空き家の管理負担や将来的な修繕費を考えると、売却は現実的な選択肢の一つです。
売却によって得た資金を、他の相続人と分け合うことで、不公平感を減らせる場合もあります。
家族全体の負担や将来を見据えて選択することが、後悔の少ない相続につながるでしょう。
実家相続の手続きの流れ

親の家(実家)を相続する際には、気持ちの整理と並行して、一定の手続きを進めていく必要があります。
誰が何を引き継ぐのかを明確にし、記録を残しながら進めることが大切です。
ここでは、実家相続において基本となる手続きの流れを、ポイントを押さえながらご紹介します。
遺産分割協議を行う
相続が発生したら、まず遺産分割協議を行います。
まずは、戸籍謄本などを用いて、相続人全員を正確に確認することが欠かせません。
相続人の認識違いは、後のトラブルの原因になりやすいため注意が必要です。
次に、実家を含めた遺産の一覧を作成します。
不動産だけではなく、預貯金や有価証券なども含めて整理することで、相続の全体像を把握しやすくなるでしょう。
また、話し合いの内容や合意事項は、書面として残しておくことが重要です。
遺産分割協議の記録を残すことで、後々の認識のズレを防げます。
相続登記の手続きを行う
遺産分割の内容が決まったら、実家の名義を相続人に変更する相続登記を行います。
相続登記には、被相続人の戸籍謄本や住民票の除票、相続人全員の戸籍謄本、遺産分割協議書など、複数の書類が必要です。
これらを揃えたうえで、登記申請書を作成し、実家の所在地を管轄する法務局へ提出します。
相続登記は義務化されており、手続きを先延ばしにすると、将来的に売却や建て替えができなくなる可能性もあります。
相続登記の手続きは、早めに対応しておくことが、住まいの選択肢を広げることにつながるでしょう。
相続税の申告と納付
相続財産の内容や金額によっては、相続税の申告と納付が必要になります。
相続税の申告期限は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内と定められているため、早めにスケジュールを確認しておくことが大切です。
申告には、不動産評価額をはじめとした書類を整える必要があります。
専門的な内容になるため、不明点は税理士などの専門家に相談することも大切です。
参照:法務局「相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ(登記手続ハンドブック)」
相続登記の申請義務化について、以下の記事でも詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
実家相続にかかる税金

親の家(実家)を相続する際には「どのような税金がかかるのか」を正しく理解しておくことも大切です。
相続税をはじめ、不動産特有の税金も関係してくるため、事前に全体像を把握しておくことが必要です。
ここでは、実家相続に関わる主な税金について解説します。
相続税の基本
相続税とは、亡くなった方(被相続人)の財産を相続や遺贈によって取得した場合に、その取得額に応じて課される税金です。
実家の土地や建物も、現金や預貯金と同様に相続税の課税対象となります。
ただし、すべての相続で必ず相続税が発生するわけではありません。
相続税には「基礎控除」が設けられており、3,000万円+600万円×法定相続人の数を超える財産がある場合にのみ、一般的に申告・納税が必要となります。
そのため、まずは実家を含めた相続財産の総額を把握することが第一歩です。
相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内と定められています。
この期限内に、財産評価や遺産分割の内容を整理し、申告・納税まで行う必要があります。
期限を過ぎると、延滞税や加算税が発生する可能性もあるため、早めに準備を進めることが重要です。
参照:国税庁「相続税」
登録免許税と固定資産税
実家を相続した際には、相続税とは別に「登録免許税」がかかります。
これは、不動産の名義を被相続人から相続人へ変更する際に必要となる税金です。
原則として、固定資産税評価額の0.4%が課税されます。
さらに、相続後に実家を所有し続ける場合には「固定資産税」も継続的に発生します。
固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に課税される税金で、居住していなくても免除されることはありません。
空き家のまま所有を続けると、税負担だけが続くケースもあるため、相続後の活用方針を早めに検討することが重要です。
税金の仕組みを正しく理解することは「家族の将来を考える機会」です。
状況によっては、住まいの専門家や不動産のプロのアドバイスを聞きながら、無理のない選択肢を検討していくことも有効でしょう。
参照:国税庁「登録免許税の税額表」
総務省「固定資産税」
相続税の特例制度

親の家(実家)を相続すると、一定の要件を満たすことで税負担が軽減される特例制度が用意されています。
ここでは、相続税の代表的な特例制度として「小規模宅地等の特例」と「空き家の特例」についてご紹介します。
小規模宅地等の特例
「小規模宅地等の特例」は、被相続人が住んでいた土地や事業用の土地を相続した場合に、相続税の計算上、その土地の評価額を減額できる制度です。
具体的には、実家の敷地のうち一定の面積までを「小規模宅地等」として扱い、その評価額を最大80%減額して相続税の課税価格に算入できます。
ただし、この特例を使うには、土地の利用状況や相続人の状況など、細かい要件があります。
「被相続人と一緒に住んでいた」「申告期限までその土地を所有している」などの条件を満たす必要があり、全員が自動的に適用されるわけではありません。
小規模宅地等の特例は、要件が複雑な場合もあるため、事前に専門家に確認することが重要です。
参照:国税庁「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」
空き家の特例
「空き家の特例」は、相続した実家を売却する際に生じる譲渡所得に対して、一定の条件のもとで税額算定上の配慮が受けられる制度です。
相続後に実家を空き家のまま売却した場合、売却益に対して譲渡所得税が課されますが、この特例を利用すると、要件を満たした場合に売却益から最高3,000万円が特別控除されます。
特例の主な対象となるのは、被相続人が亡くなる直前まで居住していた家屋およびその敷地を相続したケースです。
あわせて、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であることや、売却代金が1億円以下であることなど、いくつかの要件が定められています。
また、相続人が複数いる場合には、控除額3,000万円を相続人の人数に応じて分け合う仕組みとなっている点にも注意が必要です。
参照:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
親の家(実家)を相続することになった際の注意点

親の家を相続する際は、対応を曖昧にしたままにすると、住まいの活用や管理が難しくなります。
結果として、家族の負担やトラブルにつながるリスクもあるでしょう。
ここでは、親の家(実家)を相続することになった際の注意点を解説します。
名義や権利関係を曖昧にしたままにしない
親の家を相続した後、名義変更(相続登記)を後回しにしてしまうケースがあります。
名義が被相続人のまま、あるいは相続人全員の共有状態で整理されていないと、売却や賃貸、リフォーム、建て替えといった判断がスムーズに進まなくなるでしょう。
共有名義の場合、将来的に相続人が増えることで意思決定がさらに複雑になり「誰の同意が必要なのか分からない」という状況に陥ることもあります。
まずは「誰が所有者になるのか」「どのような形で引き継ぐのか」を明確にし、早めに名義や権利関係を整理することが大切です。
空き家期間が長くなることによるリスクを理解する
相続後すぐに親の家(実家)に住む予定がない場合、実家は一時的に空き家になることがあります。
空き家は人が住んでいない分、想像以上に劣化が早く進む可能性があります。
換気不足による湿気やカビ、設備の故障、外観の荒れなどが進行し、結果的に修繕費用がかさむ原因になるでしょう。
また、草木の繁茂や郵便物の滞留は、近隣への迷惑や防犯上の悩みにつながることもあります。
空き家期間が長くなることはリスクになるため、住む・貸す・売るといった方向性を早い段階で検討し、最低限の管理体制を整えておくことが重要です。
住まいの性能や将来の暮らしを踏まえて判断する
築年数の経った親の家(実家)は、耐震性や断熱性、間取りや設備の使い勝手が、現在の暮らし方に合っていない可能性があります。
「今すぐ住めるかどうか」だけで判断するのではなく、「これから先も安心して快適に暮らせるか」という視点で住まいを見直すことが大切です。
リフォームで対応できるのか、建て替えが現実的なのか、あるいは別の活用方法を選ぶべきかは、建物の状態や家族構成、将来設計によって異なります。
親の家(実家)への思い出も大切にしつつ、住まいの性能とこれからの暮らしを冷静に照らし合わせた判断が必要です。
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まとめ|親の家(実家)の相続は、家族のこれからを考えるきっかけになるでしょう
親の家(実家)の相続は、「これが正解」という一つの答えがあるわけではありません。
住み続ける、活用する、手放すといった選択肢の中から、家族それぞれの状況や意思に合った判断をしていくことが大切です。
そのためにも、相続が現実のものになる前から少しずつ考えを整理しておくことが、後悔や迷いを減らすことにつながります。
また、実家の相続は手続きだけではなく、住まいとしての性能や安全性、これからの暮らし方まで含めて考える必要があります。
判断に迷ったときは、自分たちだけで抱え込まず、「住まいのプロに相談する」という選択肢があることも知っておきたいポイントです。
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